THEO[テオ]が目指すのは「ゆりかごから墓場まで」の資産運用 創業者インタビュー(前編)
お金のデザインは、金融業界で長く活躍してきたファウンダー(谷家衛:現お金のデザイン取締役会長、廣瀬朋由:現お金のデザイン取締役副会長)により設立され、誰もが高度な資産運用ができ、お金の不安に悩まされない人生を送っていただけるよう、2016年にロボアドバイザーによるおまかせ資産運用サービスTHEO[テオ]をリリースしました。
今回はあらためて、お金のデザインニュースレターの編集部員がファウンダーの一人である廣瀬に、資産運用のことと、最近携わっているという京都大学との研究について聞いてみました。
前後編のコラムでお届けします。
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「ゆりかごから墓場まで」の資産運用
ーよろしくおねがいします。廣瀬さんはよく会社で「ゆりかごから墓場まで」の資産運用というお話をされますが、それはどういった資産運用ですか?
資産運用を始めるときには、人生のステージによって目標を設定するのが一般的ではないかと思います。目標は、旅行・車の取得であったり、家族ができると、マイホーム・教育費用等であったりと変化していくものです。ライフステージに応じて優先度も変わったりします。
資産形成は、退職後の「自律した生活」のためだけにとどまりません。
ここで言う「自律」という概念は、
という意味と捉えていただければ良いと思います。いわゆる「自立」という概念に加えて、漫然と生きるのではなく人生の目的やその価値をしっかり認識できている状態のことです。
現役世代には様々な支出項目があり、いわゆる「生活負債(生活する上で必要な費用)」も多く、現役世代と退職後の「自律した生活」は合わせて考えていかなければなりません。
そのような状況の中で、例えば、退職後も積立は止めない代わりに、積み立てた資産からの配当を再投資せず受け取り、生活費の一部に回すという選択もあると思います。長期の資産形成プロセスは維持しつつ、ある特定の期間には生活資金の一部を補填するために、配当金が期待できるインカム投資へのポートフォリオの組み換えを行う選択も検討の余地があると思います。
ー現役世代(就労している人)のポートフォリオでも、若年層と中年層とで違いがあるということなのでしょうか?
「生活負債(生活に必要な費用)」の少ない若年層は、積極的に掛金を積み、キャピタルゲインを追求し、「生活負債」の大きくなる中年層では、インカムゲインの期待できる投資対象資産(アセットクラス)を選び、インカムを受け取っていくことも考慮する。
長期運用にともなって資産が固定化されてしまうことを少しでも回避することにより、長期目標と現在の生活をバランスさせていくことも必要ではないでしょうか。
理想的な資産形成とは?
ー最終的に理想的な資産形成とは、どのようなものでしょうか?
少し抽象的になりますが、普遍的価値に基づいた経済合理性と自分固有の価値を調和させることになります。
具体的には、みなさん資産運用を開始するときに金融機関から「投資のゴール(目標)は何ですか?」と質問されるということはよくあると思います。そこで設定した当初のゴールが、ある程度時間がたつと変わってくるというのもよくある話だと思います。
資産運用の目標は何か?という質問は、最終的には人生のゴールは何かと問われているようなものです。最初に設定した目標は資産形成をするためのきっかけでしかなく、どのような目標であれ自律のためです。自律とは、自らが人生の選択肢と柔軟性を獲得することであり、その手段として資産形成があるのです。
ーお金のデザインでは、長期・積立・分散の大切さをブログなどでも発信していますが、例えば年金の運用などと考え方は同じなのでしょうか?
年金の運用は「長期運用」「分散投資」です。運用スタイルの視点では、年金運用と長期運用は同じです。
なので「長期運用」を標榜するお金のデザインの運用とも変わらないといえます。
「長期運用」は、リスク(リスクプレミアム)を取る対価として複利効果によるリターンを得ることができ、投資タイミングのリスクも抑制できるということになります。
資金の流動性という視点では、年金運用と長期運用では違いが生じますが、それは制度上の制約の有無ということになります。年金は、国民全体の相互扶助の観点から長期運用を効率的に行うために退職時まで資金引出しが制限されます。
お金のデザインの「長期運用」は、年金と同様の「運用スタイル」を取り入れながら、ポートフォリオの変更によって資産の利便性を改善する(インカムを受け取る・不測のインフレに備える等)ことができます。
ーポートフォリオがカスタマイズできることによって、資産の利便性が改善できるということですか?
そうです。そのために231通りのポートフォリオが用意されているということとつながります。
ー長期投資とはいえ、短期的に市場が変動すると自分の資産も変動するので、リスクを感じて投資に及び腰になることもあると思います。これをどのように克服すればいいのでしょうか。
ダニエル・カーネマン教授という著名な米国の心理学者・行動経済学者が、「心理学的研究から経済学、特に人間の判断と不確実性の下での意思決定に関する洞察を統合した」として2002 年のノーベル経済学賞を受賞しています。同教授は、「ファスト&スロー」という著書で以下のように述べています。
「進歩は遅すぎて」を「長期の複利効果は」と読み替えると、投資に及び腰になる心理を的確に示しているように思います。進歩は積分(累積)の概念で、リスクは微分(瞬間)の概念ともいえます。投資を短期投資である“投機”と考えてしまうと、それらは微分(瞬間)の概念で、進歩(複利効果、積分)を感じないままになり、投資が怖い行動のように見えてしまいます。
損失が怖くて投資できないという心理に打ち勝つためには、長期投資(積分(累積))が重要だということを忘れないことです。
ー長期投資の方法の一つとして、ロボアドバイザーTHEOが誕生したと思います。廣瀬さんが考えるロボアドバイザーの良さとはどこにあるでしょうか?
最善のタイミングで意思決定をし、行動に移すことをサポートできるのがロボアドバイザーの存在意義だと考えています。
THEOのようなロボアドバイザーを使うことで、投資に関わるさまざまな意思決定がより容易になり、自分で難しい判断やタイミングを図ることなく、行動に移せることがロボアドバイザーを使うことの利点でしょう。
資産形成の最大の目標である自律した人生を送るためには、最善なタイミングで意思決定をし、直ちに行動に移すことが必要です。これは人生の選択肢と柔軟性を確保することにつながり、人生の主導権を自ら握り「思い通りの人生を送る」ことを意味します。
ゴールは自身の人生ステージ・社会環境によって変わるものなので、自身のタイミングで、生活のための資産運用方針を選択することをサポートできる運用サービスということです。
プロフィール
※当ブログの内容は廣瀬個人の見解によるものです。お金のデザインの公式見解ではありません。
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THEOの運用については、「THEOの仕組み」をご覧ください。
運用方針、運用モデルについて、詳しくは「THEOホワイトペーパー」をご参照ください。