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2021年の振り返り〜パンデミックが世界経済やTHEOに与えた影響は?〜

こんにちは。投資プラットフォーム責任者のスチュワートボックス マットです。本年もTHEOをご利用いただいた皆さん、ありがとうございました。

2021年も前年同様に新型コロナウイルスのパンデミックに支配された一年となりました。多くの国でワクチン接種が進み、一部の国では旅行の制限が緩和されていますが、パンデミックはまだ収まらず、オミクロンなどの変異株は多くの国で深刻な事態を引き起こし続けています。

今年も残りわずかとなりましたので、収束の見えないパンデミックが社会経済、金融市場、ひいてはTHEOにどのような影響を与えたかについて振り返りたいと思います。


1.世界経済

国際通貨基金(IMF)が提供する下記のグラフは、世界のGDP成長に対してパンデミックが与えた影響を示しています。

全世界のGDPは2020年に3.1%減少しましたが、2021年は5.9%増加すると予想されています。これらは過去40年間で最大の動きであり、リーマンショック後の2009年から2010年よりも大きな変動となります。

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Source: IMF

経済的影響は世界規模に及び、ほぼすべての国と地域で経済活動が急激に減速し、その後V字型に回復しています。

下の図は、2020年と2021年のGDP成長率を国別に示しています。ほとんどの国で2020年には3%以上減少しましたが、2021年には3%以上回復しました。中国は世界で最も大きく変化があった国の一つで、2020年の成長率は1.9%のプラス、2021年には8%の成長率となりました。IMFによると、世界の成長率は2022年も約4.9%の継続が見込まれています。

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Source: IMF

2020年、各国政府のパンデミックに対する対応は積極的でした。現金給付や民間企業支援などの経済支援策を打ち出し、経済を支えるために消費を促すだけではなく、甚大な影響を受けた個人や企業を救済するための策も導入しました。これらの施策は2021年も継続して行われており、その影響は各国中央銀行のバランスシートからも見て取れます。

下のグラフは、米連邦準備制度(FRB)の総資産(米ドル)を示しています。2020年初めの4兆ドル前後から現在は8.5兆ドル超へと大幅に増加しています。しかし、FRBは2022年初めにかけて資産購入額を縮小することを示唆しています。

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Source: FRB

現在、多くの投資家が関心を寄せている最大の経済的懸念はインフレです。先進国の消費者インフレ率は、景気回復による商品価格の上昇、中央銀行の経済支援策、サプライチェーンの問題、賃金の上昇などの複合的な要因により、2020年の0.7%から2021年には2.8%に上昇しました(出典:IMF)。IMFは、世界のインフレ率が2022年には約2.3%に低下すると予測しています。サプライチェーンの問題は2022年には回復すると予想されていますが、他のインフレ率がどれほど持続するかはまだわかりません。

また、投資家がパンデミック以外で懸念していることとしては、ロシアとウクライナ、中国と台湾の間で緊張が高まっている政治的な問題が含まれています。このようなリスクは、2022年には投資家に深刻な心理的影響を与え、市場に大きな影響を及ぼす可能性があります。

2.マーケットへの影響

下記のテーブルは主要指数の2021年12月20日時点での昨年末に対する変化率を示しています。

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Source: Bloombergのデータを元に弊社作成

このテーブルは、今年の市場の動きを表しています。米国および、ヨーロッパ株式市場は上昇したものの、日本の株式市場は横ばいで金利は上昇(したがって債券価格は下落)し、原油価格の急騰と金価格の下落、ボラティリティが若干上昇しました。
しかしながらこのテーブルでは、1年間の動きを完全に表すことはできていません。アセットクラス別にもう少し詳細な動きを見てみましょう。

下記のグラフは、2021年における株式市場及びコモディティ市場のパフォーマンスを示しています。

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Source: Bloombergのデータを元に弊社作成

この1年間、米国とヨーロッパの株式市場は、多くの国でのワクチン接種率が高まったことにより徐々に上昇しました。オミクロン株への懸念から市場は年末にかけて下落しましたが、通期では前年度末に比べてプラスとなっています。

コモディティ市場では、景気回復と物流の混乱により、年間を通じて石油価格が大幅に上昇しました。投資家からのインフレ懸念が高まっているにもかかわらず、金はわずかに下落しました。

下記のグラフは、主要国の国債と為替のパフォーマンスを示しています。

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Source: Bloombergのデータを元に弊社作成

主な動きとしては、米連邦準備制度理事会(FRB)がインフレ上昇への懸念を示したため、米国の長期金利が上昇しました。ヨーロッパでも金利は上昇しましたが、多くの国ではマイナスのままとなっています。米国の金利上昇は為替市場に影響を与え、円はドルに対して10%下落しました。

3.THEOのパフォーマンス

下記のグラフは、THEOの各機能ポートフォリオの過去約6年間におけるパフォーマンス〈注〉を示しています。2020年にわずかにマイナスのパフォーマンスを記録したものの、2021年には大幅にプラスとなりました
特に、インフレへの期待感からインフレヘッジのポートフォリオは好調で、エネルギーおよび不動産関連ETFの好業績によりパフォーマンスは24%の上昇となりました。

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Source:お金のデザイン作成

来年の市場はどうなるでしょうか。今後の市場の動向を予測することは、非常に難しいことです。パンデミックをどれだけ早く抑えられ、経済成長を平常に戻すことができるかなどの不透明性がある中では、なおさら予測は難しくなるでしょう。投資家や証券会社などの市場参加者は2022年においては経済成長の大幅な回復を見込んでいますが、その大半は株価には織り込まれているようにも見えます。

しかしながら、このような状況下においても、短期的なボラティリティを恐れず、市場のタイミングを図るような投資をしないことが重要です。短期的な市場予測は非常に困難ですが、中長期的には、幅広く分散投資をするポートフォリオで着実に運用を続けていくことが、資産形成をする上では最も優れている方法だからです。

THEOは、最大30種類以上のETFを組み入れ、多様な地域、アセットに国際分散投資を行なっています。また一人ひとりにあったポートフォリオで、毎月のメンテナンスを行うことで長期の資産運用をすべて任せていただけるサービスになっています。

パンデミックでまたもや激動の一年となりましたが、2022年も引き続きTHEOをご利用いただき皆さんの人生のパートナーでいられることが、私たちの願いです。

プロフィール

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スチュワートボックス マット
取締役COO 投資プラットフォーム責任者
イギリス出身、ケンブリッジ大学数学修士。1999年、バークレイズ・グローバル・インベスターズ(現ブラックロック・ジャパン)に入社。2009年マネージング・ディレクター。科学的アクティブ株式運用部門にて、日本株式の銘柄選択モデルの開発・運用及び株式定量運用(クォンツ)全般を統括。現在、東京大学大学院経済研究科にて日本経済の研究も行う。
2018年3月お金のデザインに入社し、2019年3月に執行役員 投資プラットフォーム責任者、2019年12月に同、取締役に就任後、2020年1月にCOOに就任。

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<注>
*2016年は2016年2月19日〜12月31日、2021年は1月1日〜11月30日
*上記の各機能ポートフォリオのパフォーマンスは、THEOの運用方針に基づき、弊社が実際に運用しているものですが、資産残高が100万円以上、月中に入出金にともなう取引がないなどの条件を満たす口座の実績のみを用いて算出しております。パフォーマンスは、配当再投資、投資一任報酬(税込)、配当税控除後で計算されています(証券会社に支払う売買手数料は弊社が負担しています)。THEOのお客様のポートフォリオのパフォーマンスは、月中の入出金や資産残高等によって、上記のパフォーマンスとは異なりますので、その運用結果は同一とはなりません。その旨ご留意ください。

※当ブログのコメントは2021年12月24日現在のものです

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THEOの運用については、「THEOの仕組み」をご覧ください。
運用方針、運用モデルについて、詳しくは「THEOホワイトペーパー」をご参照ください。

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