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新年のご挨拶〜代表取締役社長より〜

新年、明けましておめでとうございます。
旧年中は、当社サービスをご愛顧頂き、誠にありがとうございました。
本年も社員一同、皆様にご満足頂けるサービスを心掛け邁進してまいります。これまで同様のご愛顧を賜わりますよう、よろしくお願い申し上げます。

経済環境

新型コロナウイルスの世界的な感染爆発により、世界は今、第二次世界大戦以来最大の危機に直面しています。昨年、世界では179万人の尊い命が失われ、感染者も8,200万人に達しました。感染拡大を防ぐための都市封鎖や移動制限などが実施された結果、世界経済は甚大な影響を受け、IMFによると2020年の世界経済成長率はマイナス4.4%と予想されています。

またこの景気後退により、新たに1億人を超える方が極度の貧困層に陥ると予測されています。これは過去3年間の貧困撲滅の成果に相当する規模であり、この未曾有の危機は繁栄の共有に向けた取り組みも大きく後退させました。

ワクチン開発の進展など、先行き不透明感を和らげる明るい兆しも見えてきつつありますが、人類と新型コロナウイルスとの厳しい長期戦は当面続くことを覚悟せざるをえない状況です。

世界経済が深刻な停滞に陥ったことを受け、各国政府による迅速かつ積極的な対策が講じられました。これまでに財政措置は12兆ドル、金融政策も7兆ドルと、経済対策の総額はリーマンショックなど過去の景気後退時期を大きく超える規模に達しています。

今後は、こうした金融・財政政策や雇用・企業支援策による経済の下支え、各国の経済再開、そしてその鍵となる有効性の高いワクチン開発の進展などにより、一部で見られ始めた景気回復が力強く拡大加速することが期待されています。IMFによると、2021年の世界経済は5.2%の成長が予測されています。なお、同じくIMFの予測では、ウイルスの感染拡大を早期に収束させた中国の昨年の成長率は1.9%と主要国の中では唯一のプラス、2021年も回復が続き8.2%の成長が見込まれています。

しかし一方で、北半球では冬の到来とともに新たな感染拡大の波が押し寄せています。また、ワクチンの供給体制整備には時間を要すると考えられ、さらには英国で感染力が高い変異種が確認されるなど、感染抑制の不確実性は依然として高い状況です。

積極的な財政出動を背景に財政健全化は大きく後退、公的部門・民間部門ともに債務膨張の課題がさらに一層深刻化していることも大きなリスクです。IMFによると政府債務は昨年末時点で既に世界経済のGDPに匹敵する規模となっており、今年はGDP比125%と、第二次世界大戦直後の水準を超えて過去最大になると予想されています。また、大規模化/長期化する量的緩和政策を背景に中央銀行のバランスシートが再び急拡大しており、将来のインフレリスクも高まりつつあると言えます。
積極的な財政・金融政策は短期的な景気回復には欠かせない下支えですが、過剰な規模への拡大による副作用は将来のリスクの芽ともなり、今後は両睨みの難しい政策運営が求められます。

ところで、新型コロナウイルスの感染爆発による経済への影響は純粋に外的な要因であり、今世の中で起きていることの本質は、昨年年初の時点で既に顕在化していた、もしくは少なくとも予想されていた不確実性のダイナミクスが加速されただけとの見方もあります。

例えば、多国間主義の後退、不平等/格差の拡大(先進国国内、グローバル)、ナショナリズム/ポピュリズムの蔓延、テクノロジー領域における米中間のデカップリング、米中関係の悪化(貿易、安全保障等)、EUの域内対立、EUと英国の自由貿易交渉(これは昨年末に合意実現)、国際機関が抱える課題、気候変動に対する危機感、そしてグローバリゼーションの質的変化など。いずれも世界経済に大きな影響を与えうるリスク要因ですが、新型コロナウイルスの影響で新たに生み出された課題ではありません。

一方、これらの課題を背景に、今後、多国間連携の枠組みや国際機関が十分機能しない可能性は深刻な懸念材料です。国際的もしくは国内の団結の弱さや分断は、各国の政策の出口戦略、ワクチンの開発・供給体制整備、資金余力のない新興国の債務問題など、今後の国際協調が求められる課題についての新たなリスク要因と言えます。このリスクは米国での政権交代によっても一朝一夕に解消されることはないでしょう。米議会が「ねじれ」状態になる可能性が高いというだけでなく、多くの課題は国際/各国国内社会の構造的問題に根ざすものだからです。

投資環境

こうした実体経済の脆弱さや不確実性の一方で、株式市場にとっては大規模な緩和策が強力な支援材料になっており、世界的に官製相場( * ) の様相となっています。世界の上場株式時価総額は史上初めて100兆ドルを突破、世界経済のGDP90兆ドルを超える水準に達しました。
しかし、感染抑制が実現して経済活動が回復すれば政府による各種政策は出口戦略に向かうこととなり、また感染抑制が遅れれば実体経済との乖離の大きさや債務膨張が意識されます。いずれの場合も株式市場にとっては不安材料です。
さらに、上述のような課題はそもそも新型コロナウイルスの感染抑制、もしくは終息によってでさえ解決されるものではありません。世界経済の回復シナリオは不確実性が高く、様々なリスク要因への警戒を欠かせない投資環境が続くと予想されます。
根拠を欠いた期待値の剥落やシステミックリスクの顕在化が引き金となったITバブルの崩壊やリーマンショックとは性質が異なりますが、何かのきっかけで市場のセンチメントが急速に悪化するリスクは小さく見積もれません。
* 政府主導で動く相場のこと

投資に求められる要素

このように今年は楽観視できる投資環境とならない可能性が高そうですが、我々はこうした時こそ「投資の基本」に立ち返ることが大切だと考えています。

・適切なリスク・コントロール
・幅広い資産クラスへの分散投資
・投資タイミングの分散(積立)
・長期投資

THEOはまさにこの「投資の基本」を実践するためのサービスです。これまでも様々な取組みでこの基本機能を増強してまいりましたが、皆様に高品質なデジタル資産運用サービスをお届けすべく、今後も最重点項目として取り組んでまいります。

また、我々が目指すお客様に寄り添うサービスの実現には「カスタム性」も重要な要素だと考えています。規格化された商品だけではニーズの時系列的変化や多様化に応えることはできません。THEOは、お客様一人一人に最適な資産運用をお届けするカスタム運用のサービスですが、今後さらに一層柔軟に皆様の資産形成・資産防衛のニーズに寄り添うべく、カスタム機能の増強にも力を入れてまいります。

フィンテックの新たな潮流

さて、企業としてのお金のデザインの視点で昨年を振り返ると、引き続きフィンテック企業を取りまく経営環境の構造変化が最大のテーマでした。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で従来の対面型営業が制約を受けたことや、プラットフォーマーと呼ばれる企業や大手金融機関のコロナ後を見据えた成長戦略の具体化もあり、頻繁に報道される合従連衡の動きは大型化・複雑化しつつあります。
「個別サービス」から「マルチ型サービス」への進化。お客様目線では、「個人の金融資産/金融取引の一部を対象とする部分的なサービス」から「資産/取引全体に寄り添う包括的なソリューション」への進化は今後大きく加速することでしょう。

加えて、そうした進化が社会にインパクトを与えるためには、新しい形の金融サービスをいかに多くのお客様にお届けできるか、利便性を高められるか、ビジネスの展開方法にも新たな発想が求められているところです。
我々は、このような構造変化を、企業として成長する大きなチャンスと捉えています。より多くのお客様に、より良いサービスをお届けできるよう、新しいサービス開発とビジネスの展開、いずれについても皆様のご期待に添えるよう邁進してまいります。

最後になりましたが、今年一年の皆さまのご多幸をお祈りして、新年のご挨拶とさせていただきます。

お金のデザイン 代表取締役社長 山辺 僚一

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