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ウクライナ侵攻と投資家のリスク管理-インフレヘッジポートフォリオの役割を再考する-

本記事は、お金のデザイン研究所所長、京都先端科学大学教授/京都大学客員教授/東京都立大学特任教授の加藤康之氏による寄稿記事です。

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ロシアのウクライナ侵攻が現実のものとなり、世界に衝撃を与えています。金融市場も例外ではありません。株式市場も大きく動揺しています。このような緊急時に投資家はどのように対応すれば良いのでしょうか。
今回はTHEOの3つのポートフォリオの1つであるインフレヘッジポートフォリオに注目しながら考えてみましょう。なぜインフレヘッジポートフォリオなのか。それは、今回のウクライナ侵攻における影のキーワードがインフレだからです。このことについては以下の本文を読んで頂ければ理解して頂けると思います。

私もTHEOのユーザーですが、ロシアのウクライナ侵攻のニュースを見て、まず確認したのがTHEOのインフレヘッジポートフォリオの保有銘柄でした。金、銀、物価連動債(物価に連動する債券)、エネルギー関連株式、REIT(不動産投資信託)などが組み込まれています。今回の侵攻で世界の株式価格は大きく下げましたが、反対に価格が上昇した資産があります。金、エネルギー、その他一般の物価です。上昇した資産とインフレヘッジポートフォリオに組込まれている主要資産が一致しています。これは偶然ではありません。これがTHEOの考える国際分散投資なのです。下落する資産があれば逆に上昇する資産があります。その時々の状況に応じて投資資金は資産を変えて行きます。でもそのタイミングを当てることは不可能です。誰が今回のウクライナ侵攻を事前に予測できたでしょう。したがって、あらかじめ、資産を分散して投資しておくことが最善の投資戦略なのです。

さて、インフレヘッジポートフォリオに組込まれている資産は、株式中心のグロースポートフォリオや債券中心のインカムポートフォリオとは性格の異なる顔ぶれになっています。ではこの第3の資産であるインフレヘッジポートフォリオはどんな役割を果たすことが期待されているのでしょうか。一般的にインフレヘッジポートフォリオには次の2つの主要な役割があると考えられています。

1つ目の役割は物価上昇がもたらす実物資産価値の上昇を享受することです。
低成長経済が続く日本の消費者物価上昇率の過去20年間の平均は0.06%(出所:総務省)と低いままできましたが、世界的に見れば物価は継続的に上昇しています。世界の消費者物価上昇率の過去20年間の平均は4%(出所:IMF)となっています。また、インフレーションはそれがひどくなると「消費者に打撃を与えるもの」として知られていますが、価格が上昇する「モノ」自身に投資をしていれば、価格上昇時にその恩恵(ヘッジ)が得られます。文字通りインフレヘッジポートフォリオなのです。日本でも過去にひどいインフレを経験しています。それは、1970年代でオイルショック(石油価格が高騰した)に端を発する「狂乱物価」の時代です。当時一番ひどかった1974年には消費者物価指数が23%も上昇しました。資産を現金で持っていたらその分だけ資産価値が減少したことになります。
ところで、最近の状況はどうでしょうか。米国では昨年末の12月に消費者物価指数は7.1%の上昇を記録しました。当面、高いインフレが予想されています。日本でも石油価格や日常製品の値上げが続いています。世界はもとより、デフレ日本でもインフレの時代に入る可能性があります。ウクライナ侵攻はこの傾向に拍車をかけそうです。それはロシアとウクライナがエネルギーや穀物市場のキープレーヤーだからです。インフレヘッジは喫緊の課題となっています。

2つ目の役割はリスク分散効果です。
ややテクニカルになりますが、資本市場にはリターンをもたらす基本要因(ファクター)が存在しており、大まかに分けて、成長、金利、そしてインフレの3つのファクターが存在すると考えることが出来ます。成長とは企業の成長が株主にもたらすリターン、金利とは借金がお金を貸している人にもたらすリターン、そして、インフレとは物価上昇が現物資産の保有者にもたらすリターンになります。インフレファクター以上のリターンを目指すポートフォリオがインフレヘッジポートフォリオということになります。
ちなみに、THEOでは成長ファクターに投資するのがグロースポートフォリオ、金利ファクターに投資するのがインカムポートフォリオです。つまり、THEOは3つの主要なファクターに分散して投資していることになります。最近のアカデミックな研究では、ファクターに分散投資することによって最も効率的なリスク管理が出来るという研究成果が多く提出されています。この考え方はファクター・インベスティング(Factor Investing)と呼ばれており、最も先進的な機関投資家が行っている最先端の投資手法なのです。

以上、第3の資産であるインフレヘッジポートフォリオの2つの役割について説明してみました。近年、この第3の資産の組み入れを増やす機関投資家が増加しています。世界経済の不確実性がますます増加する中、投資家にとってはより効率的にリスク分散された運用が最重要テーマになっているのです。今後、第3の資産への注目はさらに高まることでしょう。さて冒頭の問いである「このような緊急時に投資家はどのように対応すれば良いのでしょうか。」に対する答は何か。それは、過去のブログでも何回も繰り返しましたが、普段から国際分散投資を継続することなのです。

以上

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※本稿において、記載された意見・見解は、筆者個人のものであり、株式会社お金のデザインの公式見解ではありません。


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