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分散投資に適したETFの特徴とは?――「教えて!東証マネ部 第4回」 #これからのお金と資産運用の話

本記事は2019年4月6日に投稿された記事の再掲です

東京証券取引所が運営する、身近なお金の話からプロが教える資産形成のノウハウまでわかりやすく解説するサイト「東証マネ部!」の編集長である東京証券取引所 金融リテラシーサポート部 課長 三木誠 氏に、資産運用について教えていただきます。

前回は「ETFとは一体何か?」ということを教えていただきました。今回は、なぜTHEOのようなロボアドバイザーがETFを運用しているのか、ETFならではの「特徴」についてわかりやすく教えていただきます。

前回記事

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「金」に連動するETFもある

ー前回は、日経225(日経平均株価)やTOPIX(東証株価指数)などの株価指数に連動するものや、業種ごと、ESG関連などさまざまな種類のETFがあると伺いました。もし自分でETFを買ってみたい場合、資産運用の基本と言われている「分散投資」という観点でいうと、他にはどのようなETFを買うのが良いでしょうか。

ETFには、多くの資産クラス(※)の銘柄があります。株に関連したETFに投資するだけでなく、債券に関連したものを買ってもいいですね。さらに債券の中でも、日本だけでなく先進国や新興国など世界のさまざまな地域に分散して少しずつ持つと良いでしょう。

より本格的に分散したいのであれば、「金ETF」などの中身が実物資産の銘柄に投資する方法もあります。実物資産は価値がゼロになることがないので、分散投資を考えるうえでは有用です。

ETFを買うだけでこういった分散投資ができてしまうというのはETFの魅力だと思います。
※資産の種類や分類のこと。 株式、債券、不動産、貴金属、などの種類がある。

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「どういう組み合わせでどういったETFを買えば良いかわからない」という方は、ロボアドバイザーに任せてみるとか、あるいは証券会社の営業マンに聞いてみるのも良いでしょう。

ーTHEOも株中心・債券中心・実物資産中心、それぞれのETFを組み合わせたポートフォリオを提案しています。資産形成という観点で見ると、分散投資は重要ですよね。

そうですね、ETFは分散投資をしやすいんです。まだまだ一般の方には馴染みが薄いかもしれませんが、株などで長年投資をしてきたような玄人の個人投資家が最終的にETFにたどり着いた、というのはよく聞く話です。

最近の東証の調査によると、実は玄人の方以外に投資初心者の方でETFを買う方も増えてきています。どうやら御社のようなロボアドバイザーで資産運用をはじめて「ロボアドはETFというものを買っているらしい、どういうものを買っているのかな?」と調べているうちに、ETFに興味が出て、自分でも勉強をして、ロボアドにプラスアルファで自分でもETFを買ってみているようなのです。これはETFをプロモートしている私たちとしては、驚きでした。

ロボアドバイザーをきっかけに、もっとETFのことを知っていただき、資産形成に活かしてもらえると良いですね。

ETFにはプロに選ばれる“理由”がある

ーTHEOのようにロボアドバイザーにはETFを運用しているものが多いように思いますが、三木さんから見て、ETFの特徴や利点というのは何でしょう?

たしかにロボアドバイザーは、ETFと相性が良いと言えると思います。前回のインタビューでもお話しましたが、資産形成していくのであれば「分散投資」は非常に重要です。そこで、分散投資を効率よく行いたい場合ーー例えば日本の株、アメリカの株、その他の国の株、株以外の資産、REIT(不動産投資信託)関連など、さまざまなものに対して投資を行う場合、ETFは「透明性」「コスト面」「流動性」の観点で優れていると言えます。

ー「透明性」「コスト面」「流動性」ですか。それぞれどういう意味でしょうか。

ETFは、食材に例えると「豊洲(旧築地)市場」で買う魚のようなものです。どこで獲れたかがわかる食材を、そのまま買ってくることができるイメージです。他の投資信託は、同じ例えをするのであれば「スーパーで買うお惣菜」に近いと思います。ここがETFと投資信託の違いです。これがETFの一つ目の特性「透明性」です。

例えば東証に上場しているETFであれば、中身は何入っているかな?(何に連動するETFかな?)ということを常に開示しなければなりません。この「透明性」こそがプロに評価されている部分です。

また利点の二つ目として、高い運用コストがかからないということが言えます。通常の投資信託の場合、ETFに比べ割高な運用コストがかかることがあり、投資時期や期間・商品によってはマイナスになってしまうこともあるのではと思います。

そういうコストの面も、ETFがプロに選ばれている理由と言えるでしょう。

そして、ETFは自分の好きな時間に売り買いができるので、「流動性」において優れていると言えます。通常の投資信託の場合、日本では1日に1回15時の終値の値段で取引します。要は注文した時点では、取引の正確な金額はわからないのです。ETFの場合は市場が開いている時間はいつでも売買することができます。
このような優れた特性があることから、ETFは初心者にはもちろん「プロ」にこそ選ばれている商品であると言えます。

ープロというと「機関投資家」ということでしょうか。

その通りです。日本でETFの知名度が増すきっかけとなったのは、2010年、日本銀行がETFを買うことを発表したときです。

実は銀行は、みなさんが預けたお金を融資するなどの業務の他に、お金を運用して増やしていますが、その際にETFを活用しています。
アベノミクスのタイミングで日本株を買う機関や企業が増えたのですが、例えば「日本株に投資」する方針になった場合に、株そのものではなくETFを買うという企業が増えました。どの銘柄をどの程度買うべきかを検討するコストや時間を考えると、日本株が全体的に好調であるときには、個別の株を買うよりも、TOPIXなど多くの日本株に連動するETFを買う方が効率的です。

また、銀行の場合は企業に融資をしていますから、個別の企業の株を買う際には、インサイダー情報を持っていないかどうか細かくチェックをしなければなりません。その点、ETFはインサイダーの適用除外になっていますので、どの銘柄をいつ買っても、インサイダー取引に該当することはありません。個人でも、個別株を買ってはいけない職種の方(証券関係など)でも、ETFなら安心して投資することができるのです。

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先ほどETFの特徴は「コストが低いこと」と「透明性があること」「流動性が高いこと」だとお話ししましたが、特に2008年にリーマンショックが起きたときは、この利点が顕著に現れました。当時は株などの価格が下がって困った方が多いと思いますが、流動性の低い商品の場合「売りたい時に売りたい値段で売れない」ということも問題になりました。その点ETFは中身の流動性さえ高ければETFの流動性は供給しやすいので安心です。例えば日経225のETFであれば、中身の225銘柄の個別の流動性も高いため、より安心してお取引頂けます。

またリーマンショック時は自分が持っている商品にリスクの高い銘柄、例えば「格付けの悪い企業の銘柄」も入っているのではないか?と不安になる方が現れました。その点ETFに関しては、中身に何が入っているか毎日開示されています。この透明性が、特にプロが購入する商品としては求められている部分ではないかと思います。

ーリーマンショックという緊急時に、ETFの利点が活きたということですね。

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ETFはその「透明性」「コスト面」「流動性」によって、THEOのようなロボアドバイザーや機関投資家に選ばれているということがよくわかりましたね。

次回はこのインタビューも最終回です。気になるETFの「リスク」についてお伺いします!

次回記事

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<プロフィール>

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東京証券取引所 金融リテラシーサポート部 課長 三木誠
2000年 慶應義塾大学環境情報学部卒業、東京証券取引所入社。
派生商品部等を経て、上場審査部では株式やETFの新規上場の審査等を担当。その後、マーケット営業部にてETF、上場デリバティブ等の市場拡大のためのセカンダリー活性化業務を担当し、機関投資家向け営業や個人投資家向けプロモーションに従事。2017年4月より現職となり、ETFのマーケティング及び個人投資家層の裾野拡大を担当。「東証マネ部!」の運営責任者として投資無関心層への啓蒙活動に従事している。
公益社団法人日本証券アナリスト協会検定会員。


<東証マネ部とは>

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※本稿において、記載されたインタビュー内容の見解は、三木様個人の本インタビュー実施時点におけるご見解です。株式会社東京証券取引所および株式会社お金のデザインの公式見解ではありません。

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