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資産運用コラム

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投資経験がない方でも「お金」や「資産運用」とどのように向き合えば良いかが、分かるようになる。
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「ひとが投資をすることとは」

前回のブログで触れたことですが、8月の株価の急落を目のあたりにし、株式・債券、更にグローバル投資では避けられない為替リスクを負ってまで、なぜ個人がリスクのある資産で資産形成をしなければならないのだろうと疑問に感じられた方も多いのではないかと思った次第です。 「ひとが投資をするとはどういうことか」をお金のデザイン研究所と京都大學哲学科による共同研究[1]を2021年より進めておりますが、今年の8月に、預金での資産形成と投資による資産形成とは何が違うのだろうかということがテーマ

創業者メッセージ#1「私がお金とかかわったきっかけ」

はじめに はじめまして、株式会社お金のデザイン、取締役副会長の廣瀬です。 2000年に入り、気候変動・パンデミック・政治的緊張・戦争・テロなどが世界各地で発生し、社会的な不安が高まってきています。これからの私たちはどうすればよいのだろうかと、頭を悩ますことが増えてきたように思います。また当たり前だと思っていたことが、実はそうではないことを分かった時の不安や、過去自分がとった説明のつかない行動についての後悔、それがその後の生活/人生にどう影響したのか、更には私にとって、お金の

暴落が起こっても長期投資家が株を売らない理由

本年8月初めに日経平均株価は史上最大の下げ幅(下げ率の大きさで2番目)を記録しました。投資を始めたばかりの初心者の方はこの暴落に驚いたかもしれません。さて、この暴落の直後、不安になった一部の投資家があわてて株式を売却したようです。 一方、年金基金など長期投資を行っている機関投資家のほとんどは株式を売却しませんでした。それどころか、彼らの多くは暴落後に株式を買っています。それは相場観でも何でもなくルールになっているからです。(これについては後ほど説明します。)本稿では、市場が

インフレに強い資産とは?~インフレ下で注目したい資産運用~

コロナショックによる混乱から世界的なインフレの波がやってきました。 足元では、インフレ率が落ち着いている状況ではありますが、今後、インフレが簡単に落ち着かなかった場合に備えることが重要です。 お金のデザインでは、インフレ対応が資産形成において重要であると考えています。   一方で、ここ数年の物価高で多くの方が実感されているのではないかと思いますが、このインフレへの耐性度というのは、年齢とともに低下していきます。 特に、リタイヤされているお客さまは、給与という安定的なキャッシ

直近の株式市場と投資スタンスについての考え方

ジャクソンホール会議後の株式市場について米国株式市場は、ダウ平均株価指数で8月26日に3%超の下落となりました。 これは、注目されていた米国ワイオミング州ジャクソンホールで開かれた経済シンポジウム(ジャクソンホール会議)での米連邦準備理事会(FRB)パウエル議長による講演の影響になります。 ここでジャクソンホール会議について少し触れておきましょう。 ジャクソンホール会議とは、全米でも有数のリゾート地であるワイオミング州ジャクソンホールにおいて、毎年8月末に世界各国から中央

円安の影響と国際分散投資のメリット

新聞やテレビのニュースなどで「円安」「超円安」という報道を目にされることも多いのではないでしょうか。 なぜ、円安が進んでいるのでしょうか。また円安になった場合私たちの資産運用にはどのような影響があるのでしょうか。今回のコラムは、円安をテーマにお届けします。 なぜ「円安」になっているの?為替レートに影響を与える要因は非常にたくさんありますが、最近の円安の大きな原因としては、日本銀行と主要各国(特に米国)の中央銀行の金融政策の違いと、原油価格の急騰などを背景とした外貨需要の増加

利上げ後の状況について〜不透明な環境下で心がけたい投資の原則とは〜

利上げ後の状況について5月3日から4日に開かれた連邦公開市場委員会(FOMC)において、FRB(連邦準備制度理事会)は、フェデラルファンド金利の誘導目標を0.5%引き上げ、かつ、6月からFRBによる保有資産の縮小に着手することを決定しました。この一連の動きは、新型コロナウイルス禍からの経済再開に伴う供給網の混乱やウクライナ情勢などによるインフレ高進への対応策になります。 このFOMCの後、4日にS&P500種指数が2.99%と大きく上昇する一方、翌5日には3.56%下落、6

ウクライナ情勢をはじめとした変わりゆく環境の中で「資産を守る」ための資産形成とは?

ウクライナ情勢や新型コロナウイルスの問題は、引き続き予断を許さない状況であり、世界は刻々と変化しています。資産形成においては、より高いリターンを得ることが注目されがちですが、当社では、昨今のような環境だからこそ「資産を守る」ための資産形成に、より注目すべきであると考えます。 「資産を守る」と言ってもいろいろな意味がありますが、今回は、モノの値段が値上がりすることにより、同じ金額でも購入できるものが減ってしまう実質的なお金の価値の目減りなどから「守る」ことを中心に考えてみます

市場が不安定な時に力を発揮する、THEOのインフレヘッジポートフォリオ(実物資産)について

市場が不安定な状況下で、長期の資産運用においては、いかにリスクを抑え、焦らずに長い目線で投資を続けるかが重要です。 世界に大きな影響を与えるようなイベントが発生すると、世界の投資家の投資マインドが冷え込み、株式市場は下落する傾向にありますが、そのような時に強みを発揮する傾向にあるのが、実物資産(以下参照)です。THEOの運用は、インフレヘッジポートフォリオという形で、実物資産にしっかり分散投資できるのが特徴のひとつとなっています。 今回のレポートでは、最近の実物資産、イン

ウクライナ情勢が今後の世界市場やTHEOに与える影響は?

ロシアのプーチン大統領は2月21日、ウクライナ東部の一部を実効支配している親ロシア派の武装勢力2つを独立国家(ルガンスク人民共和国、ドネツク人民共和国)として認める大統領令に署名を行い、更にウクライナ東部での特別軍事作戦の実施を決めました。その後2月24日に、ロシア軍がウクライナの軍事施設への攻撃を行うなど、ウクライナへの軍事侵攻を始めています。 当レポートでは、今回のウクライナ情勢悪化に関する世界市場やTHEOの運用への影響や、このような環境下において大事なことに関して、当